不動産取引をするのに必要な宅地建物取引士、通称「宅建(たっけん)」。毎年20万人前後が受験する人気の国家試験です。合格率は25~30%と、国家資格の中でもそれほど難易度が高くなく様々な人が資格取得に向けて勉強しています!
今回は、宅建業における業務上の規制について学んでいきましょう!
媒介契約と代理契約
媒介・・・依頼を受けて相手を探すこと
代理・・・当事者に代わって契約を行うこと
宅建業法では、媒介契約と代理契約について同じような規制をしています。ここでは媒介契約を例にその規制について学んでいきます。
ちなみ、媒介契約と代理契約の規制は、売買と交換の場合について規制され、賃借の場合には適用されません。
媒介契約の種類
媒介契約には3つの種類があります。
一般媒介契約・・・依頼者が他の宅建業者に重ねて依頼したときに、その業者を明示する義務のある「明示型」と義務のない「非明示型」がある
専任媒介契約・・・依頼者は他の宅建業者に重ねて媒介の依頼をすることができない
専属専任媒介契約・・・依頼者は他の宅建業者に重ねて媒介の依頼をすることができない。また宅建業者が探した相手以外と契約することもできない。
媒介契約の規制
媒介契約を締結した宅建業者は、売買、交換の申込みがあった時は遅滞なくその旨を報告しなければなりません。これは特約で無効にすることもできません。
また一般媒介契約以外の媒介契約については、次の規制が適用されます。
有効期間
契約の有効期限は3カ月以内でなければなりません。もし3カ月を超える期間を定めた契約の場合は3カ月となります。
有効期間が満了したあと、依頼者からの申出がある場合のみ契約を更新することができます。
自動更新とする旨の特約は無効となります。
業務処理状況の報告
依頼者に対して業務の内容を定期的に報告しなければなりません。
専任媒介契約・・・2週間に1回以上
専属専任媒介契約・・・1週間に1回以上
指定流通機構への登録
不動産流通機構(レインズ)への登録が義務づけられます。
専任媒介契約・・・契約日から7日以内(休業日を除く)
専属専任媒介契約・・・契約日から5日以内(休業日を除く)
レインズが発行する登録を証する書面を、遅滞なく依頼者に引き渡さなければなりません。
媒介契約の書面(34条の2書面)
宅建業者は、媒介契約を締結したときは「媒介契約書面」を作成し依頼者に交付しなければなりません。
媒介契約書面には、宅建業者の記名押印が必要です。
記載事項
①住所や面積など
②売買すべき価格または評価額
③媒介契約の種類
④報酬
⑤有効期間と解除に関する事項
⑥契約違反があった場合の措置
⑦媒介契約が標準媒介契約約款に基づくものか
⑧指定流通機構への登録について
⑨既存建物の場合、依頼者に対する建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんにかんして
広告に関する規制
誇大広告を行うことは禁止されています。誇大広告は実際に損害を受けた人がいなくても、宅建業法違反となります。
誇大広告とは、「実際よりも良く表示」「実際には取引することができない物件」「実際には取引するつもりがない物件」「実際とは異なる表示」を行うことを言います。
広告の開始時期
未完成の物件について、開発許可や建築確認を受ける前は広告をすることはできません。また契約をすることもできません。
ただし賃借の場合には開発許可や建築確認前でも契約をすることはできます。(広告はダメ)
取引様態の明示義務
宅建業者は、宅建業に関する広告をする際には、取引様態(自ら売買・交換、代理、媒介)を広告に記載しなければなりません。
注文を受けた際は、遅滞な取引様態を明示しなければなりません。
明示の方法は書面でも口頭でも構いません。
重要事項説明(35条書面)
宅建業者は、契約が成立するまでに、お客さんに対して一定の重要事項を書面を用いて説明しなければなりません。
宅建業法35条に規定されているため、重要事項説明書を35条書面とも言います。
相手が宅建業者である場合には、35条書面の交付は必要ですが、説明はしなくても大丈夫です。
35条書面には、取引士の記名押印が必要で、交付の際に説明が必要です。説明をする際は、取引士証提示しなければなりません。
記載事項は多いので、過去問を解きながら確認していくのがおすすめです。
重要事項説明書 記載事項(一部抜粋)
・登記された権利の種類や内容
・法令上の制限
・私道負担に関する事項
・電気、ガス、水道、下水の整備状況
・造成宅地防災区域内かどうか
・土砂災害警戒区域内かどうか
・津波災害警戒区域かどうか
・アスベストの使用調査の有無
・住宅性能評価を受けた新築住宅(賃貸は不要)
・区分所有建物の修繕積立金の内容、すでに積み立てられている額
・瑕疵担保責任の履行に関する措置の有無
契約書(37条書面)
契約が成立した後、契約内容を記載した契約書(37条書面)を交付しなければなりません。
契約書は、契約の当事者両方に交付する必要があります。(重要事項説明書は売主・貸主には交付の必要がない)
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